シンガポールの現状と旅行業界の展望(後編)-世界の「今」を駐在員の視点から

インバウンド偏重からの脱却

  • 2020年10月5日(月)

 海外駐在員が現地の“今“を伝えるこのコーナー。今回は、前回の投稿の後編としまして、エフネスのシンガポール現地法人で代表を務める私、赤井亮太がシンガポールの旅行業界の今後の見通しについてお伝えしたいと思います。

前編はコチラ

観光業界の取り組み

 シンガポールは国土が狭く、宿泊を伴うような旅行需要がありません。今までも、これからもそうですがインバウンドに頼っていたのが実情です。現状はその需要がほぼ消滅してしまいました。

シンガポールのインバウンドとは?

 2019年のインバウンド客数は1,910万人で年率3~5%で順調に成長しておりました。日本のインバウンドは2019年には3,000万人を超えましたので、約2/3程度の規模になります。ただ、シンガポールの人口は600万人弱ですので、人口の約3倍の規模の観光客が訪れたことになります。そう考えると規模の大きさを分かって頂けると思います。

 また観光による収入もMICEの積極的な誘致、カジノなどGamingセクターの伸びもあり、約280憶SGD(≒2.2兆円)に達しています。

図1. Tourism Sector Performance for Quarter 4 2019 (Singapore Tourism Board)

なぜ、そんなに人気があるのか?

 マリーナ・ベイ・サンズやガーデン・バイ・ザ・ベイ、セントーサ島、ナイト・ サファリに加え、チャイナ・タウンやアラブ・ストリート、リトル・インディアといった民族の伝統や文化を残す地域、あるいは大型商業施設や免税店等が立ち並ぶオーチャー ド・ロードなどがありますが、周りの国に比べて観光資源が豊富とは言えません。

 それにも関わらず観光客が増加した理由は、シンガポール観光局を中心に国を挙げた観光政策によります。2005年に政府主導でTourism2015が策定され、観光業は重要な国家収入の柱として位置付けられています。この辺りから、チャンギ空港をアジアのハブ空港として機能させる、などの考え方が出てきたと思われます。

Tourism 2015

 「Tourism 2015」では、2015年までに来訪者1,700万人、観光収入を300億SGDにすることを目標としています。

1.ビジネス分野
•アジアにおける先進的な国際会議や展示会の開催場所として、シンガポールの地位をより強固なものにすること。いわゆるMICEの推進です。

2.レジャー分野
•「Your Singapore」のキャンペーンのもと、アジアを先導する観光地として個性的な体験ができるよう発展させること。マリーナ・ベイ・サンズ、ガーデン・バイ・ザ・ベイなどの建設はこの政策に当たります。

3.サービス分野
•教育・医療・金融のサービス分野において、質の良いサービスを提供できること。
•医療ツーリズムも大きな観光ビジネスの柱になっており、私立病院には近隣のインドネシアなどの国から検査・診療・治療を受けにくる方で埋め尽くされていたほどです。

 また、金融も重要なポジションを占め、香港でデモが拡大した昨今では香港の富裕層の資金逃避先としてシンガポールが選ばれていると聞きます。スイス等と同様にプライベートバンキングが発達していると言えます。こう見ると非常におもしろいですね。自国の資源をどのように生かし、観光収入を取っていくかという戦略が明確になっています。

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